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宗教に関するグローバルな展望のうちで、最近の最も大きな変化の一つは、中東において歴史的なクリスチャンのコミュニティが絶えず減少してきていることである。過去100年間で中東におけるクリスチャンの人口情勢は劇的に変化し、現在、二つの大きな動きが同時に生じている:歴史的なクリスチャン・コミュニティの主に欧州、北米、豪州への流出、そして、主に石油資源に恵まれたイスラム教国での労働を目的とした、クリスチャン外国人労働者の中東地域外からの流入である。中東における移民に関するもう一つの傾向は、主にプロテスタントや単立の宣教師が中東地域に入ってきていることである。

1910年と2010年の間、中東の9つの国でクリスチャンの人口比率の大幅な減少が認められた:エジプト、イラク、イラン、イスラエル、ヨルダン、レバノン、パレスチナ領土、シリア、そして、トルコである。これは主に出生率の低下と、紛争や迫害による移出によるものである。同時に、特に1970年以降顕著となったが、中東の6つの国で大規模なクリスチャンの流入が認められた-バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、そして、アラブ首長国連邦である。これらのクリスチャンのほとんどはフィリピン、韓国、その他の国からの移民であり、石油生産、建築、家事、その他のサービス産業における労働者である。

このような歴史的なクリスチャン・コミュニティは現在、世界中で見られ、そして、世界中のクリスチャンは中東にますます引き寄せられている。中東から出る、あるいは、中東へ向かう、というクリスチャンの二方向性の移住により、社会的、政治的に強い圧力を受けて少数派となっている中東のクリスチャン・コミュニティを支援するに当たり、独特の課題が浮かび上がっている。

南側諸国においてキリスト教が拡大していることは、特に植民地からの独立後の「西欧」と「キリスト教」の分離という点において、中東地域に囲まれて生きるクリスチャンのポジティブな進展として捉えることができる。現在、世界は中東におけるクリスチャンの苦境に、より同調的である。彼らの切迫した懸念のうちのいくつかは、社会的、かつ/または、政治的に強い制約を受けている国々において、全ての宗教的少数派が自由を主張できるようになることだと言える。

祖国を離れて住む中東出身のクリスチャンは、他の宗教を信じる人々と異教徒間の対話を持つ新たな機会が与えられている。それは、自国ではユダヤ教徒、キリスト教徒、そしてイスラム教徒との間の緊迫した関係のために、通常、成し得ないことである。中東地域の外に住むこれらの宗教の信徒たちは、中東の平和を推進するために、遠方から、より上手く協働することができる。全てのクリスチャンは、中東における宗教対立の展望を変えるという観点からも、宗教の違いを越えて対話や協力関係を推進するという、新たな責任を負っているのである。